カーテン
マッドビースト

 
 僕のカーテン
 僕の部屋の
 僕だけの窓にかかる

 昨日が毛布の奥で甘えている
 真っ青な空は地平線の向こうで
 溢れ出す時を夜の端を溶かしながら待つ

 朝は曖昧にやってくる
 いつのまにか星は消え
 空は白み
 まず草が目覚め
 次に鳥が
 光が強くなっていき
 カーテンを透過し
 部屋を侵食しはじめる

 まだ昨日は毛布の奥で甘えている
 優しくしてあげたいが昨日のままではいられない
 思い切って布団を上げる
 
 不自然で在れと思う
 この僕
 いびつで在れ

 木や石の箱で暮らす習性
 不器用な習慣の生き物で在れ

 いつの間にか生きたくはない
 いつの間にか朝も来るなと思う
 
 翼ではなくて葉や蔦ではなくて
 手があることが重要

 僕のカーテン
 僕の部屋の
 僕だけの窓にかかる
 
 カーテンレールを滑る音
 僕の朝を告げる
 何かを遮るためでもなく
 隠すわけでもなく
 ただ開け放たれるためにあるカーテン 
 今日の始りを掴み取るためのカーテン 


自由詩 カーテン Copyright マッドビースト 2005-03-23 23:31:03
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