色なんて分からない
ムウ

滴る液体は何色だ?
フェードアウトしていく最中
街灯のように光るものを
届かないとわかっていても手を伸ばす
本能がそれを追いかける
まるで危険知らない蛾達のように
悲しくも緑色を散らしながらも

静寂の中に見覚えある人影
振り返ることないその人を
自由の効かない幼さは無我夢中に
それでも人影は一つから二つに
無慈悲にも沈んで行く
泡に混じる群青色はいつまでも
遠ざかる人影を追いかける

鼓動は聞こえる 終焉の時を知らずに
無機質なものに傷つけながら
呼ばれる懐かしさと新しき声が交差していく
微かな新しき声に希望を握り締めながらも
懐かしさを抱きしめてしまっていた
選んでしまったのさ真紅の色を
何色かなんてのは分からないまま

わかるのは頬をつたう雫が透明だってこと
それくらいなものかもしれない


自由詩 色なんて分からない Copyright ムウ 2018-08-17 08:34:39縦
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