生まれかわりの手ざわり
青花みち

死んだ時に見られたら恥ずかしいものってなんだろうね。なんて話題はドーナツをかじりながら流すくらいでいいでしょ。この体がそうであるように、恥も心配もあの世には持っていけないよ。わたしが思案してるのはいつだって次のことばかりで、陶器が好きなのはきっと探しているから。ぬしりとしてひやりとした、指先でなぞらえて、心地のいい感覚を。いつかのその時のために覚えようとしている。触れて、こっそり歯を立ててみたりして、ずっと探している。薄っぺらい手のひらに収まる大きさの、なるべく底が丸いやつ。つるりとしたものよりもほんの少し面の粗いものがいいな。この皮膚に馴染むよう、きめ細かな皺を埋めるよう、わずかに、わずかに砂っぽいような。できたら色は青がよくて、宇宙みたいなざらりとした青。月2で通う古道具屋さんの、あれみたいな感じかもしれない。次の休みに確かめてみようか。もしも理想どおりだったら、毎日抱いて眠って、わたしの全身を使ってその憧れを撫でていたい。そうすれば誰よりもうまく神さまにお願いできるんだって。猫でも犬でも人間でもなく、なりたいのは、欲してるのは、ちょうどいい魂の手ざわり。次なるわたしの中心で巡っていて。ぬしりとしてひやりとしてざらりとした、青々とひかる丸い宇宙。


自由詩 生まれかわりの手ざわり Copyright 青花みち 2018-08-17 08:17:55
notebook Home 戻る  過去 未来