月のかがみ
秋葉竹



月に、なにする?
月に、って?
吠えはしないで、
月に、嘆く? 

ああ、人生って、
嘆いたほうが勝ちだったっけ?
負け、だったっけ、生きるって?

子供のころ、
きっといつかは人生は終わるんだと
知っていたのは

ごめんね、

ただの言葉で、でしたよ。

あの頃もう果てない旅の目的地など
これっぽっちも目にできるはずもなく、
日々の、
小さな悩みに足を取られたり
変わらない自分を引きずったりしながら、

かわいそうにも朝は前だけ向いて
歩かなければならなかった日々、

どこにも
だれも
いっしょの人なんて、いやしない
って、
こころの平安に失敗し
こころ引き裂かれた
京都という街の風景のなか
青春という安っぽい名前の時代は
確かにあそこにちゃんと残っていて
いまは、透明でみえないか、しれないし、
こころの声も聴こえないか、しれないけど、

べつに、
嘆くことと勝ち負けは
関係ねーんす、よ?
自分の
なかで一番だいじなことだけ
ありがとうの気持ちで
おさえておけば、ね?

ピカピカの真新しい月が
私の人懐っこい笑顔
(と思ってるのは、自分だけ、って話もある)
を綺麗に
(と思ってるのも、自分だけ、って話もある)
映し出してくれるのは、
それがこの世でいちばん高価な金貨だから
って、話もある

 
 



自由詩 月のかがみ Copyright 秋葉竹 2018-08-13 18:05:59
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