はるな



かたいかたい土を破って死ににくる蝉。六角形の頂点で、
わたしたちは夏を迎えた 地味で可愛い花とか、葉っぱ
とか、きれいな石や安くてぺらぺらの靴。32階建のビル、
眼鏡のあの子、クーラーの効かない教室 まっ白な看板
に隠れて、夜を過ごすんだよ。夜の紐、むすび目をぎゅうっ
とかたくすれば遠くまでいけるね でも手がうまく動かない
かたいかたい土を庇って生きていく動物。三角形の底面で、
わたしたちは夏を過ごした 地味で愛しい夢とか、葉っぱ
とか、よごれた指とか熱くてかなしい窓。説明のつかない
夏、説明のつかない部屋、説明のつかない体。遠くまで、
行けるのに行かなかった。


自由詩Copyright はるな 2018-08-13 14:32:25
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