溺レル
伊藤 大樹

青い羊水に染められて
沢山の私が浮上する夜

湖上の舟でまどろむ
かなしみで縫われたカレンダーをめくる

知らないでいることが
おろかなのだと知らずに
罵倒のメールを
憎んでも
憎みきれず
手放すことなどできなかった

水平線に
地平線がほどけて

羊水に溺れてもがく
自分を見た
 (水泳の成績は
  いつだってビリだった)

私を
殺すという
つよいけついに満ちたせいで

私は
私であることを
一時 免れる


自由詩 溺レル Copyright 伊藤 大樹 2018-08-12 13:01:58
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