魂は瓦礫になってしまいそうです
こたきひろし

隣の工場の煙突はワケわからない煙を吐いてた。
匂うし、目が痛くて仕方なかったのは最初の内だけだった。
今は慣れて何も感じない。

筑波山が見える辺りの空に入道雲がたちのぼる季節だ。
工業団地内に出来て三年近い物流センターの敷地内。道路にはトラックが頻繁に走り抜ける。
だからそこでの作業は危険きわまりない。
当然ドライバーたちは急いでいる。パートタイムで働く老人など邪魔な存在に違いなかった。
血液と汗水と涙の中で、血がなかれる程に悲惨なものはない。
私自身の血などもっての他だ。

風がない。下からの照り返しが凄まじい暑さだ。
太陽光の火傷から皮膚を守る為に長袖を着ていた。吹き出る汗が全身を不快にする。汗疹が痒くてたまらない。
水分補給と塩分補給を欠かしたら間違いなく命は台無しになるだろう。
時時生きる方角がぼやけて
魂が瓦礫になってしまいそうです。


自由詩 魂は瓦礫になってしまいそうです Copyright こたきひろし 2018-08-10 23:57:21
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