生真面目なエッセー風な、千葉愛豊かな、散文詩。
よーかん

チバの名産はピーナッツになる。

特産物ではないだろうと思う。

チバでは、ほぼ想像できる全ての農産物を生産できるだろうと想像する。アボカドはちょっとコストがかかり過ぎるかもしれないけれど。アボカドは、幹が凍ってしまうと死ぬ。オレンジが生産できる土地ならアボカドは生産出来るそうだ。

レモン、ミカン、カボスなど、色んな柑橘系の植物を育てている趣味人の昭和な庭先をみかけると、なんだか幸せな気持ちになるのは、それが、その家に短くはあるだろうけれど、十年以上の歴史があるのだろうと想像できるからだろうと思う。

殻付きのピーナッツを袋で買って、新米のそれを珍重するように、食べた経験があるヒトは、チバの原住民か、チバに農家の知り合い、親戚がいるヒトかなと想像する。千葉産の殻付きピーナッツを食べてしまうと、他のピーナッツをわざわざ食べる気にもなれなくなる。

美味いから。

千葉産のピーナッツは。他の千葉産農産物と違い、他の土地で生産される農産物と比べても、自慢できるクオリティーだから不思議だ。

千葉にはピーナッツが良く似合う。

ボッチという単語をご存知だろうか。モネの田園風景に、積みワラを描いた風景画があるが、もしモネが千葉県民であったなら、間違いなくボッチのある畑を描いていたはずだ。

掘り上げられたピーナッツは、畑に一度そのまま木ごと逆さに並べられ、太陽のヒカリで乾燥され、その後、冬に入る頃、農家によって、丁寧に山積みにされる。それがボッチ。

農家ごとにボッチのこだわりがある。

まずサイズ。大きさへのコダワリ。それから位置。生産者として、どの位置に並べるかで、その後の作業の効率が大きく変わる。そして、ボッチにかぶせる帽子。小さなブルーシートを被せるタイプが最近は一般的になっているようだけれど、個人的にはワラを束ねた帽子を被せている風景に好感を覚える。

どちらがラクかと言ったら、ブルーシートに決まっている。毎年おなじブルーシートを使えるし。

ブルーシートは農業用のプラスチックロープで杭に結ばれ、ボッチの上に帽子のように被せられる。ボッチの芯に雨水をためないための工夫だ。ボッチの目的は自然乾燥にあり、圃場で乾燥し、圃場でその乾燥したピーナツを脱穀することで、圃場に乾燥したピーナツの粉砕された木を戻すことにある。

ピーナツと書いてきたが、千葉の農家にピーナッツという単語を使うヒトは少ないはずだ。正しい農家は落花生と言う。ちなみに圃場とは畑のこと。農地とも、あまり正しい農家は言わないだろうと想像する。

ピーナッツと落花生では、なんだか違う農産物のようだし。

雨がふっている。

今朝の天気予報では、台風が関東に近づいているそうだ。太平洋側から千葉の先端に進み、東京を直撃して、山にそって北上するようだ。

農家さんは喜んでいるはずだ。丁度、落花生の花が地中で種を結び、今まさに木が栄養を吸い上げて、種を太らせている真っ最中だから。台風で害虫や病気も一層されるはず。まあ、落花生はあまり病気にはかからないか。その後、立秋後の強い太陽光が、潤った圃場を温めて、豊かに太った種を地中に実らせるはず。

ああ、千葉には落花生がよく似合う。

観光目的で、冬の圃場を眺めに千葉に来るヒトがいたなら、そのヒトはそうとうの趣味人だろうなと、一目置いてしまうかもしれない。

千葉の内陸の千葉魂は、ボッチとともに冬を迎える。









自由詩 生真面目なエッセー風な、千葉愛豊かな、散文詩。 Copyright よーかん 2018-08-08 08:04:09縦
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