金曜日の果て
葉leaf

わずかな差分ずつ傷ついては癒されてきたものが、それでも癒し切れずに細かな傷として残る。労働者の一週間という球体めいたものはいつしか傷だらけになり、傷が痛んだり傷から出血したりしてくる。金曜日、労働者がもっとも傷を負っている日であり、労働者が休日への期待でその球体を一層膨らませている日である。一週間を描き切るんだ、僅かな差分ずつの犠牲を丁寧に弔いながら。一週間の論理を探し当てるんだ、僅かな差分ずつの球体の膨らみと弾性を厳密に測定しながら。夏日に球体を焦がされた労働者は寝床に至って出血に呻く。傷を生み出す代表格としてのストレス、この鋭利な切り口はふさげない。ただ労働するというそれだけで内側から傷は浮かび上がってくる、この生理的な傷口は鈍重である。金曜日の果てに捨て去れるものはすべて捨て去るがいい。次の一週間が来る前にきれいに論点を整理してプロットを練り上げるんだ。労働者は深く眠る、その球体に虹色の血液を巡らせながら、金曜日の果てに向かって。


自由詩 金曜日の果て Copyright 葉leaf 2018-08-05 05:03:02
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