disappear without disappearing
mizunomadoka

ミカとサンドラ
ふたりが鏡の中にいる

あちらでは
私が死んだことになっていて
思い出を話してる

森の入り口にある小さな村
昔教会だった母のアトリエで
花冠を作ったこと

巡回医のヘンリーに
恋をしたこと

父が戦争に行ったこと

母の抱擁


庭木と畑に水を撒く
熱い土の上を風が通り抜ける

あなたたちのおかげで生きてますと
不意に感謝したくなる

子どもたちが空を指さしながら
ひこうき雲を追いかける

嵐の中で手をつなぐ

私たちの命は
消えないままに消えていく







自由詩 disappear without disappearing Copyright mizunomadoka 2018-08-04 15:32:42
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