八月生まれ
日々野いずる

食べはじめた一口が溶けて
風で塩っぽくなった白いワンピースについて
白く汚したのを
宇宙から見てちっぽけな事とよく笑えるな
避難した先のクーラーで凍死する前に
海の照り返しに炙られて蝉は転がる

ここは夏
春先のスカートから産まれた
クリスマスベビーが
育ったとしたらもう何ヶ月だろう
私とあなたとあの子とアレの思い出は結局

「それで死んでもいいってなら取り返したら?」

でもでもだってのあなたは
大混乱で話し続けて
薄情でもいいから
早く寝たいなって午前四時から五時の間
暗渠な話を聞いていた

そんな話をしてないで
夜を見てみてよ
火星が今日は大きいんだって

月の隣の写真に写らない星影
エコーの写真も撮らなかったでしょ

そういうこと
それは


自由詩 八月生まれ Copyright 日々野いずる 2018-08-04 08:34:47縦
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