月も滴(したた)る
秋葉竹


月が満ちても、
暗闇を抜け出した
明るい夜であるはずであっても、

かたつむりが、
紫陽花の葉っぱに液をすりつける
雨の夜は、
けっして、月が見えないジレンマが
山頂より流れ来る白銀の真新しい水によって
とても綺麗に流されるのだろうか?

とても、心配になる。

月にかわって、
彼女はなにをしようとしていたのかしら?
まるで、うなされる悪夢に
毎夜、寝言を言わされるみたいな
「おしおき」、って言ってたかしら?

汗の一滴もみせずに
涼しい顔して、左うちわで、
(意味は、違って、ただうちわを扇ぐだけ)
人は、平気で嘘をつける自由なんて持たないよ、
けれど、月はたぶん、平気で嘘をつく。
それが、丁度こんな感じ、さ。

ものすごく単純に、
あたしは
実はすこし翳のある女性になりたかったんだ、
そんなの、
のぞむバカって、
あまりいないじゃない?

って、ね?
(さて、どこが嘘でしょう?)

太陽が
比喩を超え、人を殺す時代になって、
夜が更けてから、
体温でとろけるチョコを
口の中にほおりこむんだよ、
甘ったるい、
あのころ、あのひと、あたしと、出逢った
愛とは、呼べない、幼く、甘めの、
恋のおはなし、ききたいのかな?

けっこう、長くなりそうだよね?

そんな、お時間、よろしいかしら?

また、月の水が滴るよ、きっとみわけがつかない、

それとも、濡れても、まだ、よろしいかしら?

そういえば長めのご用意、お支度、

しておいて、いただけましたっけ?








自由詩 月も滴(したた)る Copyright 秋葉竹 2018-07-30 02:21:41
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