ポーズ
物川祐治

卒業式を欠席した日したあの日からどれほど経っただろうか 
組み上がったベッドの上で食パンを食む テレビは無いが、政治家達が法定で「そんな事握りつぶせ!」なんて叫ぶ星がきれいな夜に窓の外を眺めながら昨日の夜の事を思い出すし、何ならもっとずっと昔の頃踏み殺してしまったテントウムシの羽の黒かった事を思い出す 仮面ライダーの孫も曾孫も仮面ライダーなのにお母さんの孫はお母さんじゃないし私でもない サンタさんがくれたミッケみたいなおもちゃ箱が欲しかったし、生クリームは結構無限に食べられると思っていた おままごとで作ったハンバーグを現実のハンバーグが超えていくとき、半分以上に切れなかった人参達のマジックテープがはじめて報われる 
老い先短い老人のうら若き爆破予告、マヤ暦終われど世界は死せず 宇宙はこれからも秩序を愛し養っていく所存らしくて日常は僅かに変動しながら繰り返していくその証拠に先日のゆでたまごも本日のゆでたまごもキュートな黄色がさされていた 先回りして手を付けておいた提出課題みたいに今は庭のモンステラがきらきら輝いていて、今朝水を蒔いたのは彼です、古典的に麦わら帽子なんか被って…
青春が過ぎても詩はかける 死を控えた人間達の呼吸音はいつだって銀河系の中のポエジーを担う 細切れの文体と乱切りの文章を僅かに括る紙の組紐 事務のおじいちゃんの手によって引き剥がされてゆく教室のタイル 四半世紀生きてきて学校、学校というものはいつだって空洞で、あるのは動き回る人と人と人と人と僅かな重金属
あんなに僕等を愛していた運命との蜜月は終わりを迎え夏の盛りは過ぎ冬を超えてやがて穏やかで少々退屈である春の中に今ぱたぱたといきもののように生活している
桜が咲いたねとか散ったねとか 冥王星の重力から開放されても浅い呼吸は治癒しませんが 何をしてもいいというのは神の視線から逃れるということ 束の間の魂の休息は新緑の中のジャグジーバスのイメージと混同してして、湧いては降ってがぶがぶいうおおらかな泡の中に身体を沈めて早2000を数え、すこしあついねと交わして木陰に休みつめたいシロップを飲み合います 

シロツメクサをはむうさぎはどこにでもいて今あなたがまっとうな意味と健やかな意思を持って前を凛とまえを向いたとき、その足下にはいちめんのシロツメクサとまっしろなうさぎがたわむれているので 
つまりあなたは安心して戦っていいのです

マジシャンになりたい
際限無く出てくるトランプみたいにショーウィンドウをみてまわって
マジシャンの鳩になりたい、
世界は平和ですよって世界中に伝える為にたくさんのオリーブを運ぶの 

昔より頭が弱くなったみたいだ 
1+1すら曖昧で 
何が欲しいっていってたっけ
いつまでもいつまでも消えない大いなる昨日と明日を君に


自由詩 ポーズ Copyright 物川祐治 2018-07-29 03:54:51
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