曇の日
木立 悟



人工の丘を埋める鳥
どこか似ていて異なる羽音が
溝と水面に響いている


瞳から現われ 発ちつづけるもの
どこまでもどこまでも向かうもの
手のひらに生まれる光の群れ
丘の上の鳥たちを真似ている


雪から雪へわたる羽
風の隙間を動く景
小さく小さく去るものに
小さく小さくうなずいて
さくりさくりと幌の陽を踏む


巨きな羽を持つ巨きな手
曇をゆっくり混ぜている
生まれ落ちた火
生まれ来る午後
曇に言葉のかたちを映す


蒼をめぐる鳥たちを
視線のかけらが追っている
にじむ陽と曇のつらなりと
丘をすぎてゆく小さな音
空へ向かってひらかれた
景にふるえる手のひらのなか
光は近づく雨を歌う









自由詩 曇の日 Copyright 木立 悟 2005-03-23 10:23:32
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