冷たいから・・・
藤鈴呼



声にならぬ音を飲み込み
握りしめた手を
そっと解き 温めてくれる
一つの指先

万華鏡のように
揺れる頭

嬉しい
冷たい
でも 嬉しい
少し 悲しい

その指先に乗せる音を
弄んでみる
どの音にしたら良いのか
確かめながら弾く
弦のように揺れる月を
そっと流れる雲に
擬えてみる

首元まで引き上げた布団で
少し 苦しくなって
冷たかった左手が
すっかり温かくなって
気付いた
握りしめていない右手と
同じ温度だ

繰り返す鼓動
それは足先
プラプラと振り子のようにはいかぬ
底辺が 固定されているのだ

地に足を付けるとは
こういうことなのだろうかと
鑑みる
仄かな灯りの下で煌めく
硝子に映る影が
風を連れて来る
ひっそりとした夢を乗せて

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自由詩 冷たいから・・・ Copyright 藤鈴呼 2018-07-15 23:55:35
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