喫茶店から喫茶店へ
葉leaf


骨格を取りまとめる不動の骨格に君は宿っている。君の読む本の文字は四方八方に飛び散り、喫茶店の壁の地味な装飾となった。君の微笑みは複雑な言語で、難解な文法と神秘的な意味を持っている。喫茶店から喫茶店へ、手渡すものなど何もなく、ただ痕跡だけが引き継がれていく。静物が傾き始める頃合いに、生まれる命はいくつもあっただろう。君の生んだ命と僕の生んだ命は、速やかに互いに殺し合うつもりで愛し合った。君は無限に開かれていく豪華な扉で、僕は様々な鍵を用いてその扉をひとつずつ開けていった。言葉はつぶさであればあるほど気体から固体へと変化する。僕はもう何も求めていないんだ、君が貪欲に求めるほどには。カップに落とされる視線、飲み干されるコーヒー、食べつくされるパスタ、それらもすべて言葉に等しい。この都市の街路を流れる鉄の河に沿って、僕たちは未知のことをだいたい投げ捨ててきた。うんざりするほど恍惚とした喫茶店の看板に、僕たちはうんざりしながら気分を解析されてきた。喫茶店から喫茶店へ、つまりは君の未知の体から既知の体へ。


自由詩 喫茶店から喫茶店へ Copyright 葉leaf 2018-07-13 03:34:57縦
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