プレバト、俳句盗作騒動
一輪車

「プレバト」というのは芸能人たちが俳句や料理、絵画などの腕を競うTBSのショー番組です。
わたしは最近はめったに観ておりませんが、東国原という芸人の俳句をみて「こいつ、天才かも」と唸ることが一度ありました。

  野良犬の 吠える沼尻 花筏(はないかだ)

お題は「満開の桜」。
このお題でこんな句が読めるとは、政治ショー番組で東の愚劣なコメントをみているわたしには信じられないことでした。あんなアホなことを考えていながら一方でこれだけの金泥絵的な感性を保持しているとすれば、天才以外に考えられないとおもいました。
東は「紅葉」というお題には次のような秀句を提出しています。

  紅葉燃ゆ 石見銀山 処刑場

野良犬の、と同じ感性です。人間の深い業を垣間見させる金泥絵。すさまじいものを心の中に抱えていると思わせる句です。しかし、東の、ふだんの愚劣な政治発言やコメントからはなかなか出てくるはずのない感性だった。

その東がやらかしてしまった。一字以外は、他人の句とそっくりそのままを出してしまった。

  梅雨明や 指名手配の 顔に×(バツ

これは、昨年6月、宮崎日日新聞に掲載された投句「梅雨寒や 指名手配の 顔に×」そっくりそのままである。

わたしが甘かったのかもしれない。
TBSのようなテレビ局のショー番組のことだから綿密な構成のもとにやっている可能性があるのは当然だ。
ヤラセであることを脳裏の片隅に置いておくべきであった。そんなことは重々承知なのだが、一般大衆庶民はこれが芸人たちの、ほんとうの実力だと勘違いする人が出てもおかしくはない。
考えてみれば東には、おかしな句があった。

  鉄格子 隙間さ迷う うろこ雲

これは「秋の空」というお題に東が出したものだが、囚人の句である。囚人にしか、あるいは長期拘禁された経験のある者にしか書けない句だ。
「石見銀山 処刑場」や「吠える沼尻 花筏」の延長線上にある句だ。
もっといえばそのさらに延長線上に「指名手配の」がある。
つまり、「プレバト」がスタッフの作り物だとすれば、東担当のゴーストライターはそういう経験をもつ人ではないかということが伺える。

さて、だれだろう。獄中句を書いたひとはいる。まさか、あの角川春樹が関与しているのじゃあるまいねえ。
まさか。

  獄に棲む魑魅(すだま)が手鞠ついており

のあの角川サンが。悪戯半分で東のゴーストやってたら面白いのだけどね。

テレビのような作り物のショーで文学をやると、一つ間違うと、このように、文学に暗部をつくりだす危険性がある。文学が政治とまったく変わらなくなる。
俳句が人気をもつのは結構だけど、透明性を維持するためには、電話で視聴者にお題をつのり、出演者がその場で句をつくるようにしなければならない。
そうでないと東のようにゴーストライターを疑うことになる。

一度、生番組にて視聴者からのお題を無作為に選び、それを芸人たちに詠ませるようなことをしないと、テレビ局が俳句を芸能政治ショーに貶めたという疑いは晴れないのではないか。

ええい! ついでだ、短句をひとつ。

   青空のアイスの下は熱地獄

みなさま、くれぐれも熱中症にご注意を。


散文(批評随筆小説等) プレバト、俳句盗作騒動 Copyright 一輪車 2018-07-10 13:56:12
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