切なる願い
坂本瞳子

真夜中に目が覚めると
襟足がしっとりと冷たくなっていて
そんなにも暑かったのかと自らを疑う

喉に渇きを覚えるも寝ぼけ眼で
頭と足とを入れ替えるように
寝床の中でもそもそと蠢く

窓の外では風の音が意外に大きく
不意に差し込む月明かりに怯え
誰かの呪いさえ感じずにはいられない

雄叫びを必死に胸で抑え
自らの肌に爪を立てて
牙を研いで再び眠りに堕ちる

暁の空はまだ遥か向こう
明星が最後の輝きを振り絞って
はち切れる
そのさまをなんとしても
見たいものよ


自由詩 切なる願い Copyright 坂本瞳子 2018-06-28 00:00:25
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