玩具に
こたきひろし

一度飽きた玩具は分解して内部の構造と仕掛けを知りたくなる
知ってしまえば最早何の値打ちもなくなるのに
元の形に戻す情熱は持たなくて

まだ子供だから赦してあげよう
子供のすることに一々腹を立てては大人げない
子供は我が儘だから
次に欲しがる玩具を買って与えよう

次の玩具もひととき遊んで飽きたら
分解して壊すだろう
それを飽きるまで繰り返して
気がついたら
大人になっている

ごみ入れのなかは分解された玩具の残骸で溢れてしまった
玩具箱の中には何も残らない

望まない妊娠と
ひたすら望んでも恵まれなかった赤ちゃん

あみだくじの仕掛けは
女の運命を分ける

人生は一瞬の花火
マッチをすれば夜空に打ち上がる

真実は
壊されるために分解される玩具みたいに


自由詩 玩具に Copyright こたきひろし 2018-06-27 02:49:52
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