雨が降らない空はない
邦秋
ドアを開けて微睡みに逃げ込む
光も眠っている夜中と朝の間に
環状線に揺られ運ばれる暮らしも
同じようにひたすら円を描いている
「生きる意味を探す旅」なんて特別じゃない
毎日を未来に思い出したら見えること
ビルの屋上に立ち 僕のいる街を見下ろしたら
儚くてちっぽけな命が動き回っていた
溢れ過ぎた言葉の雫たち
心に残すものを選べず溺れる人がいる
「正しさ」は世界が違えば その表情(かお)を変えるけど
真実は嘘が生まれない限り揺るがない
全て失いたい時や壊してしまいたい時がある
それでも目の前に立つ大切な人は信じていて
ふと自由になって 地軸の場所を見つめ直したら
思い出せる全てが 新しい色に染まり 心が震えた
雨が降らない空はない 優しさが生み出す雨もある
信じられるものを胸に ありふれた今日の弧を描こう
自由詩
雨が降らない空はない
Copyright
邦秋
2018-06-26 17:23:20