風の旅人
ミナト 螢

風が揺れるから花はお辞儀する
ギロチン前の首は繋がって
空が落とした星のカケラ拾う

風が揺れるからブランコは叫ぶ
体重のない魂を乗せて
行列に並ぶ子供たちを待つ

風が揺れるから水面が割れた
ガラスの窓じゃなくて良かったなと
笑顔を写す鏡が曇った

風の心が物に宿るまで
この世界のどこに立ち止まるのか
天気予報なら解るだろうか

気象予報士の言葉を信じて
薄いコートを羽織った背中に
愛を抱くために君がいることを
伝えようとして喉が渇いた

照明のライトが僕等を狙い
ステージの上で迎えるように
風が揺れるから踊る日がある
風が揺れるから支える手がある


自由詩 風の旅人 Copyright ミナト 螢 2018-06-22 09:45:45
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