花火
ミナト 螢

細くて折れそうで派手な服着た
夏の手首を掴んで離さない

マッチ棒の頭から貰った
火がつくと音が鳴り弾けるね

空に落書きする光のチョーク
円を描くと星が消えるような
夜があっても不思議じゃなかった

いつも見ている大きな黒板が
今は宇宙ステーションになって
たくさんの模様を残しながら
誰かの頬を輝かせている

バケツの中に沈んだ残骸は
水を吸い込んで柔らかくなり
どんな服を着てたのかも解らず
火薬の匂いが鼻を抜けてく

夏の手首を幾つ握ったら
本物の少女に出会えるだろう

明日の燃えるゴミを出すために
青い影を引きずって歩くよ

ヒリヒリと痛む火傷の跡を
風鈴の音が踏み潰した時

夏は過ぎ去った
夏は過ぎ去った


自由詩 花火 Copyright ミナト 螢 2018-06-21 09:51:13
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