ミナト 螢

極太の筆で平和と書いた
しっぽから垂れる墨汁の液が
白い紙に黒い雨を降らせ
平和を台無しにしてしまった

書き初めは何度でも出来るけれど
あの雨が降った戦争のように
やり直せない時代を生きている

拡散していく個人情報が
裸になるまで乱暴されて
道を聞かれても答えない子供
植え付けられた正義を守った

世界が炎上する度にきっと
地球の温度は上昇するね

平和を願う千羽鶴でさえ
誰の胸で揺れるのか知らずに
涙と雨を混ぜる人がいたら
透明な色で良かったと思う

紫陽花の頬に輝く雫を
傘の中で見つめる時間がある
両足を止めて考えたいことが
長靴の底で踊り明かすよ


自由詩Copyright ミナト 螢 2018-06-19 09:19:04
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