まっさらな海へつながる
そらの珊瑚

雨の音のくぐもり
かえるの声は少し哀しい
遺伝子を残すために
自分とは違う誰か
或いは
自分と同じ誰かが必要なんて
生きていくことは
素敵で
残酷だね
結ばれない糸は
螺旋を繋げず
ほろんでいくだけ

手のひらを丸くすれば
耳を覆うのに
ちょうどいい
もちろん
刹那の水をすくってみたっていいけれど

次第に耳の中はもやいで
水平線を見失う
わたしは今
どこを歩いているのだろう

少女はアトランティス大陸を想う

彼女の手にはまだ薄い水掻きが残され
透明な痕跡

子守歌みたいな
いくつかのメロディしか知らない

現実はくぐもり
失われたのはどっちなんだろう

目を閉じて
泡立つ渦の歌に包まれる


自由詩 まっさらな海へつながる Copyright そらの珊瑚 2018-06-19 08:36:59
notebook Home 戻る