むこうへ むこうへ
木立 悟





うなじから首から目から羽を吹き血を吹きながら辿る足跡



蜘蛛は蜘蛛何も残さず何も見ず虫を喰みただ夏に凍える



ふところの火を手に結び手をひらき何も無い日をかき分けてゆく



落としては拾い傷つく牙の手は獣の息と毛に埋もれゆく



ひらひらと潰されもせず生きている死地へ赴く蝶の帯の下



警笛が曇に光を植えてゆく下を向く花花こぼす花



しあわせは一人の寒さ寄る辺無さ振る手の先に居るものの無さ



白い手が空を諭して連れてゆく金と緑とそのむこうへと























短歌 むこうへ むこうへ Copyright 木立 悟 2018-06-18 20:09:02
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