ピンクのセーター
藤鈴呼



大正10年の今日、おばあちゃんが生まれた
生前 色んなものを貰った
今来ているセーターも その中の一つだ

本当は スカートもついていたのだが
元々パンツルックばかりの私のこと
早々にサヨナラしてしまった

これね オーダーメイドなんだよ
少し恥ずかしそうに
でも少し 誇らしげに告げた笑顔が残っている

そろそろ断捨離を始めないとな・・・
服についても そんなことを考えている

スタッフ時代のユニフォームも捨てて
このピンクのセーターも そろそろ・・・

そんなコトを思っていた今朝 
旦那に言われた
「何かそれ、小さくなったんじゃない?」

いつも 私の後姿を見て 
ドラえもんだと茶化すあなたが
真面目な顔で そんなことを言う

スーツだって何だって 
一度着れば 洗濯機で
グルグル洗う私のこと

もしかして 縮んだのカナ?!
それとも 私が肥えた・・・のは 事実として
なんて思いながら 旦那を送り 
帰宅して ハッと気付く

そうか、今日は 
おばあちゃんの誕生日だ

通した袖から はみだした腕
元々 七分袖チックだった

一度取れて 付け替えた 大きなボタン
失くしたら 似たようなものは 売っていないかも

何だか 捨てるのが 
ちょっと惜しくなった

たまたまだけど
たまたまなんだけど

今日 この服を 
久々に着てしまったからかな

まだ おばあちゃんの温もりを
もう一度 感じたいような 気になっている

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自由詩 ピンクのセーター Copyright 藤鈴呼 2018-06-15 01:45:38
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