年老いたジャック
腰国改修

稀にしかジャックとは呼ばれない
私の周りでは特にそうだ
どのように呼ばれてもまったく構わない
築かれた過去は傷ついた過去に成り得る
気付かれた過呼吸は気疲れた舞台の上
どちらにしてもあれもこれだから
容赦なく流されて流れて行くのだと知ってる
自動投票装置が撤去された民主何とかハイウェイに
雨が降り路面はコールタールのようだ
ストロボ現象のような雷光の下を
リズムよく走って行くのだ
チョッチョッチョッチョッチョッと走り去る
多分どこかでプラナリアのように切られたプが
シャーレの上で笑うだろう
プププププと虚無的な蛍光灯の灯りの下で
昭和四十二年生まれの冴えない研究員のため息
画幅の狭い覗き幻灯機の中の遠いスクリーンで
微かに聴こえるあの頃の歌が
たとえばそれはワンダバダワンダバダ
まるで真言の夢心地酒を垂らして
真夜中にずっしりと座っているのだ
ピンポーン
あ、帰って来た


自由詩 年老いたジャック Copyright 腰国改修 2018-06-14 13:00:27
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