くらやみ
秋葉竹



夜に心が欠けた。

ぼくらはいつだって流れる雲のように
自由に青い時間を泳ぎまわるんだって、
べつに情熱的に振りかぶらなくてもね、
そんな風でいることがあたりまえだと思っていたよ。

ふたりなら、
どこでだって、
ベッドの上だって、
バシャバシャ、バシャバシャ、
抜き手きってカッコよく
泳いでいられるって、
信じていたよ、いつまでも、そうだって。


今、なぜか、ぼくは孤りで溺れている。

まるで南国の人が雪を見ると
雪を食べたくなるように
楽しくって、嬉しくって、
流れゆく水をたらふく飲んでいたのに、
今ぼくの
目の前には暗闇しかなく、
流れゆく水に流されて、
息継ぎもできず、もはや、
溺れてしまっている。

指を伸ばしても届かない
きみの身体には、
むろん心にも。

あの、愛おしかった髪の毛いっぽんさえも。
掴めない、夜に。

夜にぼくの心が欠けた。

溺れ、ながら、死んだ。






自由詩 くらやみ Copyright 秋葉竹 2018-06-14 07:52:11
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