三日月
ミナト 螢

枠だけ作ったジグソーパズル
飲めない癖に買ったウイスキー
クローゼットで眠る洋服たち

寂しさを紛らわせてくれるもの
幾つ集めたら光るだろうか?

世界は広くて安全だから
心の隙間に文庫本を入れ
学べることなら全てを盗め

集団になれば強くなるような
トレンチコートを着たままの背中
美味しいオムライスが出来たよと
誰かに言って欲しくて振り返る

人混みの中に置いて行かれても
前を見るつもりで歩いていた
信号の変わり目みたいな心
引きずってるのは影だけじゃない

寂しさを唄わせてくれるもの
胸の奥に隠したバラードだ

この空にはまだ流れているよ
夕暮れの窓が夜に変わるまで
銀色のマイクを月から借りて
震えるようにメロディを乗せた


自由詩 三日月 Copyright ミナト 螢 2018-06-11 17:28:05
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