クロニクル
ミナト 螢

間違いだったと気付いた恋が
明け方の空で鳥と鳴いている

声もなく静かに佇む部屋で
指をさすのはあの坂の向こう
木々の枝を伸ばすようにあなたは
たくさんの葉を落として来たんだ

揺れて揺れてひとつになりたい
亡き骸みたいな身体に宿る
情けない程の欲を撒き散らし
長い毛先で心臓を聞いた

愛されることに怯えていたよ
同じくらいの愛を返せずに
小さくなっても消えたりはしない

手と手を渡り歩く温度がある
堂々巡りで破れた手紙が
好きですと伝えた日の笑顔を
そっと優しく包んで抱きしめた

いつか私が落ち葉になったら
あなたのマグカップの下に敷く
コースターになる勇気が欲しい

あなたの顔で頬が緩むような
人生を過ごせば素晴らしいね


自由詩 クロニクル Copyright ミナト 螢 2018-06-11 09:15:58
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