あの白い空に、帰るもの
秋葉竹


好きですという声が
しみこむのは、

だれも
かれも嫌いだと
苦さがあふれた、小さなこころだから?

友となのるものが
あすのためにきょうを
やさしげに接する、小雨に陽が射す、
狐の嫁入りという明かるい不思議な嘘っぽさ。

愉しげに笑っていた狐少女は、
笑いすぎて涙を流しながら、
『コンコン、こんからりん』と
白い空に帰って行く。

真剣な瞳で、鬼ごっこをしていた、
三者三様の
夏が終わるさ。


黄昏の公園のブランコに腰かけ、
薄い白さの真円の月が
咳こみながらおおげさないいわけを
たっぷりと降り注ぐのを見上げている。

まるでそのいいわけの正しさが
いつまでも、
永遠(とわ)永久(とこしえ)な輝きでも
あるかのような信仰を
この街に浴びせつづけてくれることだろう。






自由詩 あの白い空に、帰るもの Copyright 秋葉竹 2018-06-09 14:52:54
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