迷路
水宮うみ

迷路の出口には、新たな迷路が設置されている。
僕らの世界は果てのない迷路。
どこまで続くかわからない。どこまでも続くかもしれない。

最近、それが救いのように思えてきた。
例えば、数学という迷路について。
数学には、多分終わりがない。ひとつの予想が証明されたら、新たな疑問が生まれ、それが予想になる。まぁこれは僕の予想にすぎなくて、本当は終わりがあるのかもしれないけれど。
終わりがなかったらいいなぁと思うのだ。
僕は迷っていたいのだ。迷うことは、楽しいから。

すべての問いに答えられる人がいたとしよう。その人は、決断に全く時間がかからないだろう。
すべてが自明で、正解を出し続ける人生を、僕は味気なく感じるのだ。そりゃあ僕だって、もうちょっと賢くなって、今より正解を選べるようになりたいけど。

答えが分からない問いがたくさんある世界に生まれてきた僕はラッキーだ。

今思うと、僕が数学の(真か分からない)予想をどんどん作り続けているのも、もしかしたらこれから生まれる人たちを迷わせたいという気持ちがあるからかもしれない。

僕は迷路をどんどん大きくしていきたい。
迷路を解くのも楽しいけれど、作るのも案外楽しいのだ。

世界という巨大な迷路を、一生楽しみ続けるのが僕の目標だ。


散文(批評随筆小説等) 迷路 Copyright 水宮うみ 2018-06-07 17:18:10
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