マガイモノ
渚鳥

冷蔵庫のシュークリームが
パサパサになっている予感とか
時計を見なくても今が大体何時かというのに気づいている眠り
それは当たる日もあれば外れる日もあるけれど
天気予報ほど重罪じゃないさ

どうしてそんなに眠りたがるのか分からない
一体、
どうするつもりなの?

本当は起きている
眠った姿勢の自分に向かって
そんなことを毎日、毎日、寝言のように続けている
(膨大な昨日が消失するまでは)
(終わらないのだろうか)
しかし眠いことは眠いのだ

コーヒーを淹れているときから既に
酸いとか旨いとか分かる感じ
脳がピークだと思っていたときそれは大草原みたいなもので
枯れない草はないのだけれど
自分の頭の中が枯れ草だらけだなんて
想像は怖い

(自分の幸いを願ったことがあったのだろうか)
(夢に、母が会いに来ていた、どうしたんだろう、近頃、多い)
父母しか知らない話にたどり着く前に
目を覚まそうと思う

薔薇の箱のお香は
忌まわしいマガイモノだ
くしゃみをした
何かまだ分かっていないものがあると
思いながら夜8時電気を消した



自由詩 マガイモノ Copyright 渚鳥 2018-06-06 19:58:38
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