つかの間
◇レキ

詩っつうのは無意味なのかなぁ

(今日はいい詩、読んだんだ)

虚空を掴んだ握力は
そのまま真っ黒なレモンになって
僕は無力に口開けて
高濃度の滴る宇宙を頂く

なんつう痺れる感覚なんだ
もうびりびり僕は全裸になって
目から鱗がぼろぼろ落ちて
突然身体は腐っていって
全部境目無くなって

死んだみたいな 途方も無い快楽なんだ

詩っつうのは無意味なのかなぁ

ああ 腐りまくって たまらない





その人が言葉に宿るのは
言葉が疲れたりしない証拠じゃないか

何度でも踏み越えて
実感に根を張って
ほんの一瞬の感情の「本当」に身震いをしながら





理解が瓦解し続けること
お日様の光が当たれば僕はじゅくじゅくに溶けた

何にも言わずに幸せじゃないか
それは絶望とよく似ているが

例えばそれは自身を
折り続けた血しぶきで
引きちぎった快楽で
握りつぶした髄液で

幸せとは(あるいは絶望とは)
きっと途方も無い脱気にあるんだ
きっと瓦解し続ける前提にあるんだ

知識への欲望は
思考頬張る快楽は
きっと全部壊れることに住んでる





詩は書くその人自身
肉塊のまんまじゃ見えない

目の奥に宿るその人は
突っ立ってたって見えやしない ついでに言えば
服脱いでも髪引きちぎっても
肉削いでも骨粉々にしても見えやしない

詩よ死ぬな
詩は究極の露出狂

いつまでもその無意味な快楽に酔っていて

僕はそれを眺めているから…


自由詩 つかの間 Copyright ◇レキ 2018-06-06 16:24:13
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