僕の城
ミナト 螢

夢中になれるものがなくなっても
冷蔵庫には食料を絶やさず
ニュースで世界のことを知るなんて
大人のやることは真似できなくて

重たい身体をベッドに沈めて
波が来ないのは孤独なせいだ
それを認めると怖くなるから
片目だけ開ければ許してくれる?

挫折とか諦めを味わうたび
希望の光と書いて笑った
あの頃の僕は幼かったのに
今より綺麗な筆跡だった

薄暗い部屋に引いたカーテンが
だらしなく揺れるのを眺めると
打ち上げ花火の音が響いて
色の付いた雨が透き通ってくる

夏で良かったと思える夜に
アルコールを買う小銭を持って
近くのコンビニへ走って行こう

何日も同じ服を着た僕が
誰にも見つからなかったら勝ちだ


自由詩 僕の城 Copyright ミナト 螢 2018-06-05 19:04:30
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