ゆらぎ ひとり
木立 悟



訪れるもののない中庭に
光が射しては揺れる草
縄で書かれた文字の上
固く転がる鳥たちの声


香りの白さに照らされて
夜が隅々まで見えるのに
それでも窓を閉じてしまう
見えないほうが見えてくるから


ひとつひとつ異なる
たくさんの機械の音
雷曇を見上げる舌
黄に染まる背と羽の群れ


目のなかの水に
暗がりの塊が映る
夜の灯
真緑の壁


明暗とともに
音もまた見えてくる
十九時には既に
花嫁も夜になっている


空から 地から
激しい光が昇り ぶつかり
中庭を照らす一瞬に
幽かな朝の喝采は降る






















自由詩 ゆらぎ ひとり Copyright 木立 悟 2018-06-05 17:22:20
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