屍と女の心理
moote

 屍の歩行

眼孔虚ろな屍の歩行
背に虹のような色とりどりの傷
水蒸気の中で何も呟かないままに
解れた縫い目で足跡は塞がっていた
火は酔拳のように揺らめいている
消えるまで眼孔を落葉のように散らせる
美の雰囲気に犯され黙っていれば急かされる行方
海を覆い尽くす窓ガラス
迷子の子供の泣き叫ぶ声

 あなたを求める

白い太ももを撫でたい
あなたと触れ合ったのは時差のせい
気付かずにいれば声を掛けるから応える
幻とは過去のこと

アルミホイルに包み込まれた野菜
少食とか以前に今日は何も食べない
骨と皮とまではいかないが細い身体
静かな空腹の音色を楽しむ

理路整然とは若さの象徴
老人は壊れた部品で形を作る
枯葉で作った言葉になれ
冬の桜を毎日眺めろ

雪を食し体調を崩す
もう何度もあなたに包まれたというのに
新たな不安が生まれあなたを求める


自由詩 屍と女の心理 Copyright moote 2018-05-31 16:42:02
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