恋人の来る場所
atsuchan69

5月の陽射しは、
夏を隠した薄鼠色の空の隙間から
光の階段のように降りてきて
美しい虹を作り、
いくぶんつよい風を呼んだ

――さっと、

曇り空の幕を開けると、
碧と白のまだらな空を覗かせる

ボクは麻の長袖シャツを着て
胸ポケットには飴色のサングラスを挿した
濃紺のチノパンツには黄と葡萄色のアイビーベルト
素足には、茶色いローファーを履いた

君は雨上がりのバス停にいて
腰のあたりに大きなリボンの付いた
ピンクと赤の花柄のワンピースを
小さな水たまりに何度も映して、
それから不安げな顔をいくどか映した

待ち合わせは、
光の階段の降りてきた場所、
そこへ行くのには、
ほんの少しだけ勇気が必要だった

ほら、あれは天使のはしご
大勢の天使たちが昇り降りしているよ
飴色のサングラスをかけるとよく見える
さあ、早く君もここへおいで


















自由詩 恋人の来る場所 Copyright atsuchan69 2018-05-28 12:19:09
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