初めてを
こたきひろし

私は今日までに 数えきれない 初めて を繰り返してきた
この世界に生まれ落ちて日に初めてあげた泣き声 その時初めて浴びた光 初めて体を洗ってくれた水 初めて飲んだ母乳
それらは私の記憶の靄に飲まれてしまっているけれど
初めての度かさねであったに違いない
数え出したら果てしない初めて連続
私の首が座って そして訪れた初めての歩行
私が今日までに経験した膨大な初めての数が
私を一個の人間に育ててくれた

初めて異性に熱く胸が騒ぎだして吹きこぼれだした感情
思いを抑えきれず 告白した日に返ってきた ごめんなさい
自分が自分を支えていられなくなった

純粋で無垢な心の反対側にいつも私を汚そうとした
激しい性の衝動

心と体のバランス

私は今日までに数えきれない初めてに支えられ
これからも初めてを積み重ねていくだろう
いつかは死にいたる道筋で


自由詩 初めてを Copyright こたきひろし 2018-05-28 05:45:24
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