糸屑め
坂本瞳子

ほころびた糸を
手繰り寄せて
手繰り寄せて
辿り着いたあなたは
優しさの欠片さえ与えてくれず
涙の滴さえ見せてくれず
私は渇きを覚え
希望を忘れ
堕ちてゆくことを夢見るようになる

病んでいる私の心が
あなたを捉えようと必死に
蜘蛛の糸のごとくしなやかに強く
絡まるように張り巡らせて
紅を滴らすけれど
これはきっと白い糸
あなた次第で何色にも染まる

繊細な指が爪弾く甘い旋律は
束の間癒やしをもたらしはするけれど
残酷なまでに哀しい現実を見せつけるように
蜥蜴の尻尾のごとく切り落とされる糸の末端は
放たれる


自由詩 糸屑め Copyright 坂本瞳子 2018-05-27 23:59:58
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