ほろほろほろ、と
秋葉竹



菊の花がゆるく風にゆれて、
黄色いほほえみをうかべ
この部屋にちいさな笑い声がうまれる。

ほろほろほろ、と
ちった花びらは
ベッドのよこにそろえられた
黒色のスリッパのなかへ、おちる。

あッ、
っとわたしの声はもれ、
もらしてしまった恥ずかしさに、両眼を瞑る。

ときまさに白くあかるい午(ひる)。

世界はいつにもまして、
ひたむきな努力がひつような真実を
ひた隠しにするが、この
いままさにやさしさがながれる部屋の
悲しみのピアノのねいろを、

色にたとえることはできるのか?


どうでしょう、
それは、どうでもいいんです。

広い窓からみおろす花壇を囲う
赤いレンガにしみこんでゆく雨音が、
とってもやわらかいんです。
と、
ちっておちてゆく菊の花びらに、
きかせてあげたいだけのことだから。






自由詩 ほろほろほろ、と Copyright 秋葉竹 2018-05-27 20:44:37
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