フラグメンツ/ほたる
AB(なかほど)

それが蛍というのなら

それを蛍という人達が
優しい微笑で小鳥をつつむように
佇んでいる

それが蛍というのなら
どんなにか幸せな人達なのだ




ヤマホタルブクロ

じんじんじんじん
壺屋の水は甘かったか
久茂地の水も甘かったのか
そこから誰かの光が見えるのか
じんじん

あの娘の涙を飲んで落ちて来るか
じんじん




うみほたる

漁り火はほたるじゃない
燐光もほたるじゃない
君もほたるじゃない
君の魂もほたるじゃない
心はここにあって

そのほたるも海には帰れない




イカロス

君達の足並みは、羽ばたきは、瞳の色は
揃わされなくてもいい

今年最後の水辺のイカロスは
懐中電灯に気づいてしまい
弱い光でゆっくりと近づいてきてくれた







自由詩 フラグメンツ/ほたる Copyright AB(なかほど) 2018-05-26 19:09:02縦
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