再生
ミナト 螢

今まで拍手を貰ったことは
照れているうちに忘れてしまった

濃密な思い出ほど哀しくて
同じ雨に打たれた君が好き
ブラスバンドの演奏に隠れて
飲み込んだ言葉はひと足遅い

明日は何もなかったかのように
宿題をやっていくから笑って
答えを写すのに必死な顔を
机の上で見せてくれるかな?

重たい荷物には宛先がある
だけど私はベッドの中でただ
固くなった指がソナタをなぞる

ピアノに傾けた情熱だけが
私の価値を決めると思った

青春のメロディはチャイムの音
光に飲まれて空を仰いだ
せーので飛べそうな君の街まで
手持ちの定規じゃ届かないよね


自由詩 再生 Copyright ミナト 螢 2018-05-26 16:07:34
notebook Home 戻る  過去 未来