気もそぞろ、雨の中
坂本瞳子

ビニールの傘
雨の滴が伝う

船の帆のように
ピンと張って
緩むことなく
風には向かう

弱くない
ひるまない

ボタボタと
雨に打ち付けられて
音を立てるけれども

破られない
穴が空いて漏れたりしない

透明のビニールは
あちら側を見るために

剥き出しの銀の骨は
脆弱そうに見えても
それなりに強く

守るから


自由詩 気もそぞろ、雨の中 Copyright 坂本瞳子 2018-04-26 01:01:17
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