無題
◇レキ

誤解に勝てない

ほらまた
どこかで
僕の知らないところで
へったくれもなく
僕が焚きつけられて
ぼうぼうに燃やされている

心がぎりぎり絞り千切られて
ぼろぼろになって水分なくなって
かき集めようにもぐちゃぐちゃで

何よりの強さは
暴力や見下しや
誹謗中傷とかじゃない
とかじゃない

ずるさ

2018/04/16



田んぼ
トラクタは 草
跳ね 飛ばして進む

人も
樹々も
空も
雲も
空気も
初夏を整え始めてる

2018/04/16


雨上がりの朝は少し冷たい
端から順にハウスを開ける

もわりとした
枯葉や稲藁の
少しずつ発酵してゆく
優しくて 暖かい匂いの空気は

小さな苗たちの羊水みたいだなぁ

2018/04/16



昨日の雨がおいしかったね
今日の朝日が嬉しいね

だって
覚めるような新緑の
樹々からぽたぽた
垂れるしずくは

空の淡い水色に透かされて
とっても甘そうだもの

2018/04/16

1日の終わり

雀達がそろそろ
ねぐらに帰る相談してる

カエル達が
だるそうに鳴き出した

藤がふと
風にほのかに香らせて
たった一人で
静かに散ってる


夕方には何故か
誰もがたった一人になる
瞬間があるような気がする

2018/04/21

いつもの今日

悲しいね
おはよう 青空だね
今日も日常に肉付けされて
触れ合えぬまま
今日に埋もれて行くよ
無さに消え去る今日に

2018/04/22

滞って 澱んだ心を
熱い湯船で溶かそう
湯気と一緒に気化して行けよ
まるで心だけになって
重心を失いながら
ほつれるように 歩くみたいだ

2018/04/22

何にも
生きる事に関係ないのに
レースのカーテンが
魅惑的に風に揺れている

何にも
生きる事に関係ないのに
カーテンの隙間から
誘うように光が吸い込まれてくる

何か 悪い事 したかな

2018/04/22


自由詩 無題 Copyright ◇レキ 2018-04-24 22:46:24
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