ただ、好きなだけ。
秋葉竹
愛を直視して、みせて
僕が君を好きな理由を
勢いにまかせて、告げようとした。
私もそうなの、と、
味のないガムを吐き出すより早く
目も見ないで言ってくれて
好きな理由を言わせないんだね、
その代わりに伏せた目を僕に向けて
子供に言って聞かせる丁寧な口調で
君は僕を悲しませようと
過去の自分のはなしを聞かせるんだ。
僕にはわからない罪を懺悔し、
涙目になって両手で僕の手を取って、
いい訳だけはしないまっとうさで
自分がどれほどひどい女であるかを
過去のいつつのエピソードを紹介し
僕に理解させ、僕に嫌われようとする。
だから、私はあなたのことが好きなんだけど
あなたのことを好きになる資格がないんだ、
と、
まるで自分で自分の首を絞めて
死ぬことができるのかを
実験している冷静さで
ふたりの関係が純粋な
ピンク色の恋愛になるなんて
あり得ないと懸命に理解させようとしてくれる。
《愛からは
《すべての希望が
《沸騰したお湯の泡のように
《エンドレスで生まれつづけるけれど、
《その愛を生むための決定的な清らかな願いを
《私は使い切ってしまっていて、
《あなたには人を信じない心で作った
《薄ら汚れた愛の使い回しの気持ちしか
《向けることができない。
《から、
まるで血を吐くほととぎすの声色で
「ダカラ、イーンデス、」
と、僕から逃げようとする。
僕は追いかけて、振り向かせて、
そこではちゃんと愛を告げて、
僕が君を好きな理由を
こんどこそ、君に聞いてもらわなければ。
聞いてもらって、
君に好きになってもらうことって
できるのかなぁ。
走っても、走っても、届かない君だったけど、
僕が変われば、君も世界も、
あたたかい、やさしい笑顔で
僕に微笑んでくれるんだ。
そう、信じて。
僕は君に心から好きですの
告白をする。
なぜ、ってきくの?
ほんとをいうと、
理由は、ないんだ、
ただ、好きな、だけ。
あなたのすべてが、
ただ、好きな、だけ。
自由詩
ただ、好きなだけ。
Copyright
秋葉竹
2018-04-17 15:41:44