隠花植物
もとこ

雨が近づくと
植物の匂いが強くなる
それはまるで
隠す気のない事後のようで
私は好きになれない
(きっと
罪悪感の裏返しね)

彼の車に乗って
高速を使い海へ向かう
やがて雨が降り出すと
私は牢獄に閉じ込められる
(白馬の王子様は
妻子持ちでしたとさ)

ときどき
身バレに注意しながら
二人の際どい画像を
彼に無断で
インスタにアップする
(いつでも
家庭を壊せるのよ私)

雨の訪れくらい
知っていただろうに
彼は海へ行く前に
モーテルで休もうと言う
太陽が見えない日は
彼との間にある濁りで
正しいものたちが
ますます遠ざかっていく

薄暗く湿った
安っぽい部屋での戯れは
私の全身に容赦なく
雨の匂いを巻きつけるだろう
それが分かっていても私は
沈黙で同意を示したまま
車窓に弾ける雨をぼんやりと
眺めることしかできないのだ


自由詩 隠花植物 Copyright もとこ 2018-04-15 16:53:40
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