冬の朝の詩
高林 光

踏みしめる雪の靴音は
清らかに固められた冷気のこすれるような強情さで
色の薄い太陽と
水を透かしたような蒼の空

登校する子供達の歩道の
一本道が少しずつ踏みしめられて
坂下まで続く
時に無邪気に脇にそれたかと思うと
不意に戻ったり
きまりのない想いが続いて
しばれきった冬の寒ささえ喜ぶ子等なら
この朝とひとつになれるのかもしれない
清らかなものの吐く息が
淡い朝陽の熱をも奪い
さめた幻になる

冬の寒い朝に意味などなくて
そこにあるのは
ぼんやりとした色の薄い太陽と
曖昧に水を透かしたような蒼い空
清らかで強情な雪は靴音から
子供達が踏みしめた歩道は
彼らの思いのまま
そして
その意味のなさに戸惑う
僕がいるだけ


自由詩 冬の朝の詩 Copyright 高林 光 2018-04-03 09:14:15
notebook Home 戻る