咳き込む…水を飲む。そして咽せる。
虹村 凌

(咳き込む音…続けて水を一気に飲み干す)
(そして再び咽せる)

あ゛ぁ゛…息苦しい…


腐った新聞紙が 
窓を閉める(そう 窓を閉めるんだ)
俺達は 窓さえ開けられない(外の景色さえわからない)

名誉白人が馬鹿を見ている
正直者が馬鹿を見ている
真面目な野郎が馬鹿を見ている
律儀にやった結果に馬鹿を見ている

俺達が全てを手に入れようと伸ばした腕は
打ち払われて 腕は傷だらけになっちまった
窓にすら 手が届かない(指の先すら)

何でもかんでも縛り始めた
去勢されちまった
喧嘩すりゃ捕まる
もう 何も出来ねぇよ



窓を 開けろ
窓を 開けるんだ
(咳き込む…水を飲む…)

(咽せる)
ちくしょう
この喉すら 俺達の声すら
間もなく潰されちまうのか
ちくしょう
この指すら 俺達の希望すら
間もなく切り落とされちまうのか
ちくしょう
ちくしょう
ちくしょう

クソったれが!!
喉が嗄れても 破れて血を吐いても
この声を発した俺達は捕まるかも知れない
クソったれが!!
誰を護るって言うんだ 俺達の自由も護れないで
お前等はそのルールで 何を護るって言うんだ


窓すら開けられない
地位すら捨てられない
そのホンのちょっとの勇気も無い
てめぇらは 本当に去勢されちまったのか


俺達は馬鹿を見る為に
ここまで来たのだろうか
正直者が馬鹿を見る 歪んだ世の中に
悔しくて 涙も出ない


もしもお前等が公共の電波でもって 一人一人の名前を言えば
どれだけ俺達を愛しているのか 俺達はそれを知る事が出来る
そうすれば 東京駅の真ん中に 
沢山のヘイタイを集める事だって出来るだろう
でもお前等はそれをしない
喧嘩をして捕まる事の方が恐い腰抜けだ

クソったれが…
窓を開けてくれ!!
(咳き込む…水を飲む…)

時間は残り少ない(悠長に構えている時間は無い)
俺達がトチれば殺されるのは俺達の家族だ
俺達は殺されたりしない それが奴等のやり方だ
腐ってゆく空気を!!



窓を   開けてくれ







俺達は未だに
戦い続けている
ずっと前から
戦い続けている
俺達に 本当の和解なんて無いのかも知れない
クソったれが

(咳き込む…水を飲む)
(咽せる)


窓が何処かすら
わかんねぇ…


自由詩 咳き込む…水を飲む。そして咽せる。 Copyright 虹村 凌 2005-03-19 17:07:32
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