罪と夜
ヤスヒロ ハル

夜空が訳もなく光っている
雨雲の無い稲妻が
わたしの罪を暗示している

人は許されることを愛だと思うだろう
優しさを寛容と取り違えるだろう
幸せを作用点にすれば
全ての不運は過程であると
自他に言い聞かせるであろう
自覚なく誰かを傷付け
自覚なく誰かを喜ばせ
なんとなく荼毘に付されるだろう

夜空が訳もなく光っている
名も知らぬ星座を
いかずちが横切ってゆく

わたしが罰を避ければ
だれか大事なものが
裁かれるだろう

嘘が嘘を呼ぶだろう
誤魔化しの雪玉が
坂道を転げ落ちるだろう

夜空が訳もなく光っている

月が割れそうな
穏やかな夜だ

わたしは

換金してしまった罪を
寂しく暗唱しながら

光る夜を見上げる


自由詩 罪と夜 Copyright ヤスヒロ ハル 2018-03-25 09:42:37
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